OEM(受託製造)コラム
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健康食品の賞味期限設定に必要な試験を解説。人の感覚も重要な判断基準。
商品を製造する際、賞味期限はできるだけ長く設定したいと考える方は多いかと思いますが、どのような条件で賞味期限が決められているかご存知でしょうか?
販売者にとって、賞味期限は品質の担保だけでなく商品の製造ロットや販売計画を決める際に必要な情報の1つです。
賞味期限を長く設定できれば、その分商品を保管できる期間も延びる為、1回の製造ロットを大きくしてコストを抑える事が可能です。
賞味期限が短いと、期限までに売り切る事ができず廃棄となるリスクがあります。
また、大容量の商品であれば使い切る前に賞味期限が来てしまう可能性があり、クレームの原因になりますので注意が必要です。
コンスタントに製造しなければいけない為、販売状況によっては在庫過多を防ぐ為に製造ロットを小さくする必要があります。
この記事では、サプリメント・健康食品の賞味期限を決める為に必要な情報や試験について説明します。
これからサプリメントの製造を検討されている方や、販売中の商品の賞味期限を延ばしたいと考えている方は是非この記事を参考に製造の計画を検討してください。
SUNAO製薬では、サプリメントのOEM製造をお受けしております。お気軽にお問い合わせください。
目次
賞味期限が決まる要因
「食品表示期限設定のガイドライン」(厚生省・農水省)では、食品の特性に十分配慮した上で、食品の安全性や品質等を的確に評価する為の客観的な項目の検査結果等に基づいて決定することとされています。
製造者や販売者は、検査結果や商品に関する知識や経験も活用して賞味期限を設定します。
原料の賞味期限
使用する原料は、各原料メーカーから仕入れますが、それぞれに賞味期限が指定されています。
製造するに当たり使用する原料が複数ある場合、その中で最も期限の短いものが商品の賞味期限に反映されます。
もし、賞味期限の年数に希望がある場合には、製造前にその旨を伝えましょう。
試験による検証
完成した商品の品質を客観的に評価する為に、複数の項目の試験を行います。
分析結果から商品がどの位劣化したか確認ができる為、その結果を参考に賞味期限を設定します。
理化学試験
製造日からの品質劣化を理化学的視点から評価する試験です。
主に「水分活性」、「pH」、「過酸化物価」、「酸度」、「糖度」などを検査します。
製造日の測定値と製造日以降の測定値を比較する事で、品質の劣化度を確認し判断基準とします。
微生物試験
製造日からの品質劣化を微生物学的視点から評価する試験です。
主に「一般細菌数」、「カビ数」、「大腸菌数」、「黄色ブドウ球菌」など、腐敗や食中毒の原因となる菌が増殖していないかの検査を行います。
検査は分析センターに委託する為、別途費用がかかります。
官能試験
人の五感を使って商品の品質を評価する検査です。
主に「味」、「香り」、「食感」、「色」など、人の感覚で評価できる内容が検査項目となります。
加速試験をして商品の状態を確かめる
サプリメントは1年〜2年間の賞味期限を設定するのが一般的です。
しかし、その期間製品を保管して品質検査を行うのでは、商品の発売が大幅に遅れてしまいます。
そうならない為に、加速試験を実施する事で短期間で長期の賞味期限を設定する事ができます。
加速試験とは?
高温・高湿度の過酷な条件下にサンプルを保管し、意図的に劣化を早めて賞味期限を検証する方法で、虐待試験とも呼ばれています。
加速試験による賞味期限の決定については明確な決まりがある訳ではなく、各社で基準を設けて評価しています。
発売日の兼ね合いで希望していた日数の加速試験がかけられない場合、まずは確認ができた日数までの賞味期限で製造をしなければいけません。その後、引き続き加速試験を続けて品質に問題がなければ次の製造から賞味期限を伸ばす事が可能です。
官能試験をして状態を確認する
分析による数値では確認しきれない項目については、官能試験で評価します。
味や香りなど、口に入れた時の印象に関わるので、重要な試験の一つです。
官能試験とは
視覚、味覚、嗅覚など人の感覚を使って評価する試験方法です。
微生物試験や理化学試験の結果に問題がなかったとしても、味や食感、香り、色の変化に大きな変化があるとクレームの原因にもなってしまいますので、官能試験は賞味期限を決める上で必須な情報です。
検査方法は、正確な判断ができる様に訓練された複数人の検査員によって、製造してすぐの商品と一定の期間保管した商品を比較しながら評価を行います。
人の感覚を使った検査となる為、評価する環境によって精度に影響が出てしまうデメリットがあります。
精度の高い結果を得る為には、検査室が無臭である事や検査員の健康状態の確認、先入観を与える情報が入らない様にするなどの設備を整える工夫が必要です。
特に味と香りを確認します。
商品によって評価項目に違いはありますが、主に口に入れた時に不快な味や食感がないか、不快な香りがしないか、製造してすぐの商品と比較して著しい変質はないかの確認を行います。
カプセルなど味や香りに関係のない商品に関しては、官能試験は実施せず菌検査や理化学検査のみとなります
賞味期限と消費期限の違い
パッケージの裏面には賞味期限ではなく消費期限と書かれている物もありますが、2つの違いについてご存知でしょうか?
呼び方の違いだけで意味合いは同じだと思われがちですが、明確な違いがありますので注意しましょう。
賞味期限は「美味しく食べられる期限」です。飲料やお菓子など痛みにくい食品に記載されており、サプリメントも賞味期限を使用します。
もし賞味期限が過ぎてしまったとしてもすぐに食べられなくなるわけではありません。
ただし、一度開封した食品に関しては、賞味期限や保存方法に限らず早めに食べていただく事をおすすめします。
消費期限は「安全に食べられる期限」です。お弁当やおにぎり、ケーキなど痛みやすい食品に記載されており、製造から概ね5日以内に設定されています。
期限をすぎた商品を食べると食中毒になる可能性がある為、消費期限はしっかり守るようにしましょう。
お店で販売されている商品を手に取ると、賞味期限であったり消費期限の表示がされています。 これらはよく目にするものですが、この違いについてご存知でしょうか? 同じような意味合いにも取られがちですが、実はちょっと違います。 こ[…]
健康食品の賞味期限設定についてのまとめ
賞味期限は、商品の安全性に関わるとても重要な情報です。
試験結果によっては設定した賞味期限を延長できる可能性もある為、サプリメントを販売する方は賞味期限が決まる要因についてしっかり把握しておきましょう。
もし、どのくらいの期間で設定して問題ないか不安な方は、OEM工場に相談するのも一つの手です。
SUNAO製薬では、商品の製造だけでなく分析に関するサポートも行なっております。
長年の製造経験を活かしたアドバイスもできますので、これから商品の製造をご検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。